世界遺産リストに記載されている物件の中で、未来に残すことが難しくなりつつあるものは危機遺産リストに記載されます。その理由は地震や竜巻などの天災によるものや、紛争や密猟などの人災、都市化による環境の悪化など様々です。 現在危機遺産に指定されている物件は以下の通りです(2012年7月現在)。 件名 [危機遺産リスト記載年] <保有国> エルサレムの旧市街とその城壁群 [1982年] <エルサレム(ヨルダンによる申請)> チャン・チャン遺跡地帯 [1986年] <ペルー共和国> ニンバ山厳正自然保護区 [1992年] <コートジボワール共和国/ギニア共和国> アイールとテネレの自然保護区群 [1992年] <ニジェール共和国> ヴィルンガ国立公園 [1994年] <コンゴ民主共和国> シミエン国立公園 [1996年] <エチオピア連邦民主共和国> ガランバ国立公園 [1996年] <コンゴ民主共和国> カフジ-ビエガ国立公園 [1997年] <コンゴ民主共和国> マノヴォ-グンダ・サン・フローリス国立公園 [1997年] <中央アフリカ共和国> オカピ野生生物保護区 [1997年] <コンゴ民主共和国> サロンガ国立公園 [1999年] <コンゴ民主共和国> 古都ザビード [2000年] <イエメン民主共和国> アブ・メナ [2001年] <エジプト・アラブ民主共和国> ジャムのミナレットと考古遺跡群 [2002年] <アフガニスタン・イスラム共和国> コモエ国立公園 [2003年] <コートジボワール共和国> バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群 [2003年] <アフガニスタン・イスラム共和国> アッシュール (カラット・シェルカット) [2003年] <イラク共和国> キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群 [2004年] <タンザニア連邦共和国> バムとその文化的景観 [2004年] <イラン・イスラム共和国> コロとその港 [2005年] <ベネズエラ・ボリバル共和国> ハンバーストーンとサンタ・ラウラ硝石工場群 [2005年] <チリ共和国> コソボの中世建造物群 [2006年] <セルビア共和国> ニオコロ-コバ国立公園 [2007年] <セネガル共和国> 都市遺跡サーマッラー [2007年] <イラク共和国> ムツヘタの文化財群 [2009年] <グルジア> ロス・カティオス国立公園 [2009年] <コロンビア共和国> ベリーズのバリア・リーフ保護区 [2009年] <ベリーズ> エヴァグレーズ国立公園 [2010年] <アメリカ合衆国> パグラティ大聖堂とグラティ修道院 [2010年] <グルジア> カスピのブガンダ王国歴代国王の墓 [2010年] <ウガンダ共和国> アツィナナナの雨林群 [2010年] <マダガスカル共和国> スマトラの熱帯雨林遺産 [2011年] <インドネシア共和国> リオ・プラタノ生物圏保護区 [2011年] <ホンジュラス共和国> トンブクトゥ [2012年] <マリ共和国> アスキア墳墓 [2012年] <マリ共和国> イエスの生誕地:聖誕教会と巡礼路 [2012年] <パレスチナ> パナマのカリブ海沿岸の要塞群:ポルトベロとサン・ロレンソ [2012年] <パナマ共和国> リヴァプール-海商都市 [2012年] <英国> コンゴは5つの自然遺産を保有していますが、その全てが危機遺産に指定されています。紛争による難民流出や密猟などにより自然遺産の価値も失われつつあります。国は貧困にあえぎ、国立公園の保護もままならないのが現状のようです。 また、2012年の春にマリ北部がイスラーム系反政府武装勢力「アンサール・ディーン」により掌握され、それに伴いマリ北部の世界遺産「トンブクトゥ」と「アスキア墳墓」が危機遺産リストに記載されましたが、それに反発したアンサール・ディーンはトンブクトゥの聖人廟を次々と破壊。バーミヤンの悲劇が再び繰り返されてしまいました。 |