世界遺産リストに記載された物件は、次のような範囲設定がなされ、構成資産の保護がなされます。 【資産(property)】
世界遺産の構成資産そのものを含むエリアです。かつては核心地域(core zone)と呼ばれていましたが、最近では資産(property)と呼ぶのが一般的になりました。 資産はその国の国内法において保護されていなければなりません。日本においては、文化遺産は主に文化財保護法、自然遺産は自然公園法、自然環境保全法で保護されています。 日本において世界遺産の構成資産になりうるものを具体的に述べると、文化遺産は国宝建造物および重要文化財建造物、特別史跡および史跡、特別名勝および名勝、重要伝統的建造物群保存地区、重要文化的景観など。自然遺産は国立公園、原生自然環境保全地域、自然環境保全地域などです。 これまで、日本政府はこれらの指定または選定を受けていることを世界遺産推薦の条件としてきましたが、最近では史跡指定を受ける事が難しい(史跡に指定されると基本的に現状変更が不可となる為)稼働中の工場などを世界遺産に推薦すべく、文化財保護法に基づく保全以外の方策が議論されています。その方向が進めば、宮内庁が所管する古墳群などの世界遺産推薦も現実味を帯びることになります(宮内庁所管のものは、基本的に文化財保護法による文化財指定ができません)。 ただし、日本の文化財保護法は非常に厳格で世界的にも評価されているのに、それ以外の保護策で世界遺産へ推薦することで、日本の世界遺産保護策の信憑性が損なわれるのではないかとの意見もあります。 【緩衝地域(buffer zone)】
周辺環境の変化が資産に影響を及ぼさないよう、緩衝帯として設けられるエリアです。資産を取り囲む形で設定されます。 資産同様、緩衝地帯も適切な保護がなされている必要があります。資産ほど厳しい保護策は取られませんが、それでも利用にあたっては一定の制限を受けます。 |