遍路18日目:高知市内ビジネスホテル




 ……眠い。非常に眠い。iPhoneのアラームで何とか7時に目を覚ますことはできたものの、起き上がるのもだるいくらい重い眠気にさいなまれている。この体の芯に残る疲れは、一晩寝たくらいでは取れないらしい。

 そのような状態なのにも関わらずわざわざ7時に起きたのには理由がある。ホテルの朝食サービスが始まる時間なのだ。なんとかベッドから体を引きはがし、ゾンビのように部屋から出て一階のカフェテリアへと向かう。安さで選んだ宿なので食事には期待していなかったのだが、用意されていた朝食は思っていたよりしっかりしたもので驚いた。


パンとコーヒーぐらいなものかと思っていたが、ちゃんとおかずもついてきた

 この朝食付きでこの宿代はかなりお得感がある。ありがたく平らげてから部屋へと戻った。早速作業を開始しなければならないところであるが、どうにもこうにも体はベッドを求めている。腹が満たされたということもあって、横になった途端再び猛烈な眠気がやってきた。そのまままどろみに溶けていく……。

 気が付いたら昼過ぎになっていた。寝ているだけでも腹は空くもので、早く何か入れろとグゥグゥがなり立てる。しょうがないのでホテルの近くにある食堂に入った。カウンター席しかない小さな店であるが、客の入りはそこそこ良いようだ。


何の変哲もない月見うどんを食べた

 メニューを決めるのも億劫だったので、お金の節約も兼ねて安めの月見うどんにした。しかし冷静になってみると、他の客が食べているおでんやぶっかけ飯がなかなかうまそうだ。もう少し他のメニューも見るべきだったと後悔。

 出てきたうどんはコシもヘッタクレもない値段相応のものであったが、昔高校の食堂でたべたうどんのようで懐かしくも感じた。時折無性に食べたくなるような、悪くないタイプのチープさである。


食事を終えて部屋に戻ったのだが……

 とりあえずPCを開いてみるが、どうにもこうにも集中することができない。このホテルはWi-Fiが早くてネット接続が実に快適なのだが、遍路の最中には見ることができなかったサイトをついつい巡ってしまい、まったくもって作業に取り掛かれないのだ。

 挙句の果てには再び眠気に襲われて二度寝、三度寝としてしまい、起きてる間もダラダラとネットサーフィンをし続ける。分かっているけどやめられない、意志薄弱者の典型例というべきダメっぷりである。


夕方になって、ようやく写真の加工を始める始末であった

 外が暗くなりかけたところでこれはマズイと危機感を感じ、ついに作業を始めたのであるが、さすがにエンジンがかかるのが遅すぎた。結局、写真の加工だけで一日が終わってしまい、あえなく三連泊することと相成った。


フロントで延泊の手続きをして、夕食の買い出しに出る


結局、コーラを1.5リットル飲むだけの一日だった

 いやはや、さすがに三日間も同じ場所に逗留するとなると、少しばかり焦りが出てくる。こうして私が停滞している間にも、他の遍路たちは皆進み続けているのだから。

 うむ、これではダメだ。いくら疲れているとはいえ今日の体たらくは大いに反省する必要がある。明日はもう後がないという背水の陣で挑み、キッチリ原稿を仕上げるとしよう。そして明後日からは遍路として再び歩き始めるのだ。そう兜の紐を締め直しつつ、今日のところはお疲れと缶チューハイをあおるのであった。