遍路19日目:高知市内ビジネスホテル




 今日も7時にアラームをセットしていたが、昨日とは違って実に心地よい目覚めである。しつこくつきまとっていた眠気は完全に吹っ飛び、心なしか体も軽い感じがする。朝食もしっかり頂き、体力全快だ。さぁ、マジメに原稿の執筆である。


ちょっと食べ過ぎた気もするが、栄養は摂れるだけ摂っておきたい

 写真の加工は昨日のうちに終わっているので、レイアウトとテキスト書きを並行して進めるとしよう。初めての遍路記事なのでノウハウ的な要素を盛り込みつつ、時系列に沿って各霊場や道中の出来事などを述べていく。

 鳴門の岡崎港からスタートし、第1番札所の霊山寺へ到達。吉野川沿いの札所密集地帯を抜け、初めての遍路ころがしに挑む。まだ遍路を始めてから20日足らずであるが、既に随分と昔のことのように思える。それだけ濃厚な日々を送ってきたということだろう。


朱印について説明するための追加写真をベッドで撮る

 執筆のペースは遅いものの、あまり手を止めずに書き続けられているので、少しずつではあるが確実に完成へと向かっていく。四国遍路特有の道標についての情報や、これまでに受けたお接待などの記述を加え、記事のボリュームが増していく。

 ふと小腹が空いたので時計をみると、既に正午を回っていた。昨夜のうちに買っておいた食料で腹を見たし、引き続き記事を書く。


昼食はバッテラ(半額見切り品)と明太子おにぎりである

 昨日といい、今日といい、なんだか食べ物の写真ばかり撮っているような気がする。もっとも、どこに行くわけでもなく宿に引き篭っているだけなので、ご飯以外に報告する情報がないというだけの話であるが。早く食べ物以外の話題を提供できるよう、とっとと書き上げてしまわねば。

 決意を新たに原稿に臨む。記事内では札所間の風景、特に昔ながらの遍路道の写真を多目に取り上げ、たっぷりとその魅力を紹介する。さらにはカートを転がしていたおばあちゃんや、フランス人二人組といった人との交流についても取り上げて――と書き連ねていたら、あっという間にページが埋まってしまった。

 本来の予定では、現在地である高知市までの旅程についての記事にしようと思っていたのだが、書きたいことが多すぎて徳島県だけでページを使い切ってしまったのだ。しょうがない、高知県以降は来月の原稿に書かせて頂こう。


結局、これだけのコーラを飲んだところで原稿は完成した

 すべてのテキストを入力し終え、まとめの文章を綴って記事を結ぶ。既に夜の帳が降りて久しく、窓の外では煌びやかなネオンが怪しく輝いていた。ふぅ、なんとか一通り書き終えることができた。あとは一晩寝かせておき、朝にもう一度だけ校正してから編集部にメールで入稿してミッションコンプリートだ。

 というワケで、今日も今日とてお疲れ様と缶チューハイをあおる。普段、野宿をしている時はキッパリ断酒しているのだが、人の目が気にならない宿泊の時は例外だ。気持ち良く酔っぱらってから電気を落として寝た。