文化的景観(CL:Cultural Landscape)は、1992年より導入された文化遺産における概念です。その言葉の意味は「人間と自然の共同作品」や「人間と人間を取り巻く自然環境の間における相互作用の多様性」などと表現されています。 文化的景観はあくまで文化遺産の一種であり、その登録基準は文化遺産のものが適用されます。ただし、文化的景観の中には自然遺産の登録基準を適用できるものも多く、その場合は複合遺産になります。 文化的景観は次の3つのカテゴリに分けられ、またカテゴリ2は二つのサブカテゴリに分けられています。 (1)人間によってデザイン、作成された景観(庭園、公園の景観など) (2)有機的に進化し続ける景観(集落や畑、牧場の景観など) −発展の過程がある時期に突然または時代を超えて停止し、 今に残る化石化した景観 −伝統生活と密接に結びついて現代社会の中で活発な社会的役割を保ち、 今もなお進化の過程が進行中の景観 (3)自然的要素の強い信仰や宗教、文学や芸術などと関連する景観(宗教的聖地など) 現在、日本の世界遺産では「紀伊山地の霊場と参詣道」が聖地および巡礼路の宗教景観として、また「石見銀山とその文化的景観」が中世から近代までの産業景観として文化的景観の適用を受けています。 日本は狭い国土ながら豊かな自然を持ち、人は自然と共に暮らしてきました。故に自然が原生のまま残る場所は少なく、人為的影響が見られる場合がほとんどです。しかしそれは、人の文化と自然が長きに渡り関わりあってきたという意味にもなるのです。 |