天橋立

―天橋立―
あまのはしだて

京都府宮津市
特別名勝 1952年指定


 京都は丹後、宮津湾にある天橋立は、全長おおよそ3600mの細長い陸地が、宮津湾と阿蘇海を一直線に分断するという特異な地形を見せる景勝地である。その奇妙かつ神秘的な光景は古くより人々に知られており、江戸時代の儒学者である林春斎は、自身の著書「日本国事跡考」にて松島、宮島と共に日本三景の一つとして紹介している。




黒松が並ぶ天橋立内部

 天橋立は野田川から宮津湾に流れ出た土砂が、海からの海流に押し返されて堆積した砂州である。北側の府中から伸びる大橋立と、南側の文珠から伸びる小橋立の二つの砂嘴から構成されている。なお、昔は今ほど小橋立が発達しておらず、宮津湾と阿蘇海の間に大きな隙間があったことが、室町時代の水墨画家、雪舟が描いた天橋立図(国宝)よりうかがい知ることができる。




中央付近で湧く磯清水

 天橋立には約8000本もの黒松が生い茂っており、その中には船越の松や夫婦松など名のある名木も存在する。幅が最も広くなる中央付近には天橋立神社(橋立明神)が祀られており、その裏には周囲を海に囲まれているにもかかわらず、塩分を全く含んでいないことで知られる磯清水の井戸がある。また、近くには剣豪岩見重太郎が仇討ちの際に試し切りをしたという石も残る。




天橋立から見る早朝の宮津湾

 丹後国の風土記には、天橋立形成についての伝説が記されている。それは、日本の創造神である伊邪那岐命(イザナギノミコト)は天と地を行き来するのにハシゴを使用していたが、昼寝をしている最中に倒れてしまいそれが天橋立になった、というものだ。他にも、百人一首の歌に読まれるなど、天橋立に関する古くからのいわれは数多い。




傘松公園から望む「斜め一文字」

 天橋立を眺望するに適した場所は多々あるが、場所ごとに見える様子が異なるため、それぞれの景観に名が付けられている。南側の玄妙遊園から見る天橋立は、龍が天に昇るようであることから「飛龍観」、西側の大内峠からは一文字に見えるため「一字観」、北側の笠松公園からは「斜め一文字」、東の雪舟観展望所からは、かつて雪舟が天橋立図を描いた視点であることから「雪舟観」と呼ばれている。




日本三文殊の一つ切戸の文殊を本尊とする智恩寺

 また、その天橋立の特異な景観は信仰を呼び、周囲には多くの寺社が存在している。天橋立南端にある智恩寺は、天橋立を境内地とし、宮津藩から手厚い庇護を受けていた。天橋立の北側には海の神である彦火明命(ひこほあかりのみこと)を主神とする籠(この)神社が祀られ、またその背後の成相山には成相寺が置かれている。これらの寺社は、雪舟の天橋立図にも描かれているものだ。

2007年11月訪問




【アクセス】

北近畿タンゴ鉄道「天橋立駅」より徒歩約5分。

【拝観情報】

天橋立北側の笠松公園、南側の天橋立ビューランドなどに展望台あり。

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