大田市大森銀山

―大田市大森銀山―
おおだしおおもりぎんざん

島根県大田市
重要伝統的建造物群保存地区 1987年選定 約162.7ヘクタール


 石見銀山から続く谷間に位置する大森は、銀山の発展と共に栄えてきた鉱山町である。谷を流れる銀山川に沿って町屋や商家、武家屋敷が建ち並び、鉱山町としての景観を形成している。現在の町並みは寛政12年(1800年)の大火の後の再建により作られたものである。




石州瓦の屋根が連なる

 大森の町並みは赤瓦の町並みと言っても過言ではない。石州瓦と呼ばれるこの赤瓦は、釉薬が使われており光沢がある。赤瓦が使われ始めたのは江戸時代後期、黒い瓦はそれ以前のものである。どちらも太陽に反射しきらきら輝くさまが美しい。




大森代官所跡
現在は石見銀山資料館として公開されている

 1526年に銀が掘り出されて以降、石見銀山を巡って数多くの争奪戦が繰り広げられた。江戸時代になると幕府の直轄領となり、奉行所(産出量が減った後は代官所となる)が建てられ急速な銀山開発が進められ、石見銀山は最盛期を迎えることとなる。




銀山へ続く大森の町並み

 石見銀山の銀の産出量がピークを迎えたその頃、大森は膨大な人間で賑わっていた。しかし徐々に銀の産出量は減っていき、江戸末期になると銀の産出量はなくなってしまう。そして1943年には完全閉山となったのだが、そのお陰で大森の町並みや銀山遺跡は大きな手が加えられることなく、良好な状態で現在まで残された。




重要文化財の熊谷家。大森で最大の商家建築である

 通常の城下町などでは身分別に武家町と町人町がはっきり分けられているのに対し、大森の町並みは武家屋敷や商家屋敷、町屋が混在しているのが特徴である。これはあまりに急激な発展にしっかりした町割ができなかったためと言われる。白壁の蔵を持つ商家や土壁に門を持つ武家屋敷が並ぶ景観は独特だ。




銀山柵内にある西本寺

 大森銀山重伝建は、国史跡である銀山柵内にも及んでいる。銀山エリアで目立つ建物は神社や仏閣だ。かつて石見銀山は、銀山百ヶ寺と呼ばれるほどの寺社が存在してした。羅漢寺をはじめ、現在も数多く残る寺社や寺社跡の数から、往時の銀山の繁栄が偲ばれる。

2006年08月訪問




【アクセス】

JR山陰本線「大田市駅」より石見交通バス「世界遺産センター行き」または「大森行き」で約15分、「大森代官所跡バス停」下車すぐ。

JR山陰本線「仁万駅」より石見交通バス「世界遺産センター行き」または「大森行き」で約20分、「大森代官所跡バス停」下車すぐ。

【拝観情報】

町並み散策自由(ただし、住民の迷惑にならないように)。

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