白川村荻町

―白川村荻町―
しらかわむらおぎまち

岐阜県白川村
重要伝統的建造物群保存地区 1976年選定 約45.6ヘクタール


 岐阜の山深く、かつては陸の孤島と呼ばれていた日本有数の豪雪地帯、白川郷。その中心地である荻町には、18世紀から19世紀にかけて作られた、合掌造りと呼ばれる伝統的な大型家屋が100棟近くも建ち並び、背後の山や畑と相まって非常に特異な光景を作り出している。




数多くの合掌造り家屋が建ち並ぶ

 合掌造りの家屋の特徴は、なんと言ってもその屋根の形だろう。通常の日本家屋の場合、屋根の勾配は大きくても45度程度であるのに対し、合掌造り家屋の屋根は勾配が60度近くにもなる。屋根を急斜面にすることで、雪は積もらず横に滑り落ちる。この屋根の形状は、屋根にかかる雪の重みを軽減するための工夫なのだ。




水田と茅葺屋根のコントラストが美しい

 また、合掌造り家屋には釘やかすがいなどが一切使われていない。柱や梁などは、全て縄によって絞められ、固定されている。これによって、屋根に雪の重みがかかっても家屋全体が柔軟にたわみ、屋根にかかる負荷を分散することができる。これもまた、豪雪地帯ならではの工夫である。




荻町南部の田園風景

 荻町の合掌造り家屋は3階から5階建て。1階は居住空間となっており、2階以上は寝室もしくは養蚕の作業場である。荻村の合掌造り家屋は、妻側(切妻屋根のうち、傾斜の無い三角形の面)が一様の方向を向いているが、これは養蚕を行う屋根裏の部屋を風通し良くするためだ。




明治23年(1890年)に建てられた長瀬家

 荻町の南には、昭和36年に完成した御母衣ダムがある。ダムが作られたその場所は、かつて9つの合掌造り集落、350棟以上の合掌造り家屋が存在した合掌造りの中心地域であった。しかしダムの建設と共にそのほとんどが解体され、ダムの底へと消えてしまった。結果的に、取り残された荻町が現在の合掌造りの中心地域となったという過去がある。




和銅年間(708〜714年)の創建と伝えられる白川八幡神社

 また、集団離村なども相まって、合掌造り集落は危機に瀕していた。この貴重な町並みを守るため、荻町集落は同じく合掌造り集落が良好に残る五箇山の相倉集落、菅沼集落と共に、1970年に国の史跡に指定された。その範囲は合掌造り家屋からその屋根を葺くための茅場、雪から家屋を守る雪持林などにまで至る。その後荻町は重伝建に選定され、そして1995年、荻町は相倉集落、菅沼集落とともに世界遺産リストに記載され、合掌造り集落は世界的な保護の上で守られることになった。

2007年07月訪問




【アクセス】

JR北陸本線「高岡駅」より加越能バス「白川郷行き」で約2時間40分、「荻町合掌集落バス停」下車すぐ。

【拝観情報】

町並み散策自由(ただし、住民の迷惑にならないように)。

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